アベノミクス失敗後の日本経済
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日本経済の停滞が続いている。
2012年12月に政権交代があり、第2次安倍内閣が発足した。
安倍内閣は金融緩和、財政出動、構造改革を訴え、日本経済を成長させると訴えた。
金融緩和、財政出動、構造改革を柱とする政策を安倍内閣はアベノミクスと呼んだ。
アベノミクスによって日本経済を成長させると意気込んだ。
経済成長によって経済活動の生み出す果実=パイが膨らむとした。
増大した果実が最終的に労働者の手元にまでしたたり落ちる「トリクルダウン」が唱えられた。
しかし、その目論見は失敗に終わった。
日本経済は成長せず、労働者の賃金所得は減少し続けた。
2013年1-3月期から2022年10-12月期までの実質GDP成長率(前期比年率)の単純平均値は0.8%。
2009年10-12月期から2012年10-12月期までの実質GDP成長率単純平均値は1.6%。
後者は民主党政権の時代である。
民主党政権時代に東日本大震災およびフクシマ原発事故が発生。
日本経済は闇に包まれていた。
この期間の成長率平均値が1.6%であったのに対し、アベノミクス始動以降、現在までの成長率平均値が0.8%である。
アベノミクス以降、日本の経済成長率は民主党政権時代から半減した。
文字通り、暗闇の日本経済が続いている。
このなかで、日本の労働者の実質賃金は減り続けた。
一人当たり実質賃金指数(現金給与総額)は2013年から2022年までの9年間に5.9%も減少した。
日本は世界最悪の実質賃金減少国である。
2012年から2017年までの5年間に法人企業の当期純利益は2.3倍に激増した。
アベノミクスで潤ったのは大企業利益だけだった。
経済全体が成長しないのに大企業利益だけが倍増した。
その背景は労働者への分配所得が減ったこと。
経済が成長しないのに、経済活動の果実の分配において資本の取り分を増やせば労働者の取り分は減る。
だから、労働者一人当たりの実質賃金が激減した。
安倍首相は「雇用が増えた」ことをアベノミクスの成果だと主張したが、増えたのは働く人の数だけだった。
労働者全体の分配所得が減ったなかで、その減った分配所得を分け合う人数だけが増えた。
その結果、一人当たりの実質賃金は激減した。
当然の結果であり、これを経済政策の成功事例とするわけにはいかない。
それでも、近いところでは2021年5月には一人当たり実質賃金が前年比で3.1%の増加を示した。
久しぶりに実質賃金前年比増加率が高まった。
ところが、本年1月の実質賃金前年比変化率はマイナス4.1%まで落ち込んだ。
消費税増税が実施されたわけでもないのに、実質賃金が激減してしまった。
最大の背景はインフレ亢進だ。
本年1月の消費者物価上昇率が前年同月比4.4%上昇を示した。
日本でも本格的なインフレが発生してしまった。
インフレは庶民にとって災厄でしかない。
インフレ分だけ実質賃金は目減りする。
虎の子の預金もインフレが生じるとインフレ分だけ目減りしてしまう。
インフレを喜ぶのは資本である。
インフレになれば給料を引き下げなくても実質賃金が減少する。
企業の負担は軽くなる。
インフレになればインフレ分だけ企業の借金は軽くなる。
つまり、インフレは資本に利益を供与し、労働者=消費者=生活者に苦しみを与える経済現象なのである。
したがって、日銀はインフレ抑止に軸足を置かねばならない。
ところが、日銀の黒田総裁は最後までインフレ率上昇を推進した。
その黒田日銀がようやく終焉し、植田日銀の政策運営が始まる。
今後の適切な経済政策運営が求められている。
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